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髙橋建築

セルロースファイバー断熱材

断熱・気密

セルロースファイバーの断熱材の工場を視察しました。

https://www.decos.co.jp/

断熱材にもいろいろありますね。
様々な断熱材が有りそれぞれ良い特徴と悪い特徴があります。

今回はセルロースファイバーの特徴をお話しします。

セルロースファイバーはどんな断熱材でしょうか?

古新聞をリサイクルした断熱材です。段ボールだったりする場合もあります。

視察した断熱材メーカーさんは「デコス」さんで古新聞を利用していました。

沈下しないの?

古新聞を繊維状に細かくして綿のようにします。
砕いて小さくするのじゃ無くすりつぶすように繊維状にするのが技術のようです。
繊維状にふわふわにすることで長期間にわたり沈下しなくてすみますね。
繊維の長い良いセルロースファイバーは沈下しにくいのです。
もし、沈下してしまって隙間が空いてしまったら断熱材としての役割を果たさないばかりでは無く内部結露の原因となってしまいます。怖いですね。

その繊維状の綿のようにした新聞紙にホウ酸等を混ぜ防虫性能、防火性能を高めます。それと撥水剤を混ぜます。

その綿じょうのセルロースファイバーを機械で壁の間に吹き込むのです。
密度を高くぎゅうぎゅうに詰め込みます。これがきちんとできないと後で隙間が空いてしまうのです。そのため、きちんとした業者さんに責任を持ってやってもらう必要があります。
あまり上手じゃ無い業者さんに当たると怖いですね。工事中では解りません。結果が出るのが数年後ですから。
だいたい密度55kg/m3です。 これは壁の面積 1㎡当たり5.5kg 普通のお家は200㎡くらいですから 壁だけでおよそ1トンの重さですね。
グラスウールでしたらその3分の1以下です。住宅の重さから設樂たいした重さではありません。(笑)
きちんと施工すれば沈下の心配はいりません。

熱性能は?

肝心の熱性能はというと 熱伝導率λ=0.04W/mK です。厚さ10cmの壁で 外が0℃ 室内が20℃と 20℃の温度差があった場合普通のお家くらいの外壁面積で 0.04/0.1*200*20=1600Wの熱が逃げるということですね。壁からにげる熱だけで6畳用エアコン1台分くらいですね。
高性能グラスウールはλ=0.038 ネオマフォームはλ=0.020です。
ネオマフォームなら半分の厚さで同じ性能と言うことです。
断熱材として性能が高い方とは言えません。

蓄熱性能?

しかし重いが良い面もあります。重いと言うことは熱容量も大きいと言うこと。熱容量とは熱をためる力。
室内の温度変化は小さくなります。きちんとセルロースファイバーの厚みが有りしっかり断熱されていれば室内の温度変化は小さくなります。
でも薄い場合には逆効果になる場合もあるのです。たとえば屋根などに使った場合には、日中は断熱しているのですが熱をため込んでいることも同時に行っています。
その熱が夜室内に放出され続けるのです。時間差攻撃です。(笑)
セルロースファイバーの家が厚いという話を良く聞きますがこれはまさにこのセルロースファイバーの特徴熱容量の大きさが悪さをしているのです。
しかし、十分に断熱材が厚ければ熱が入ってくる量が少なくなりますのでこのようなことは無くなります。
同じ断熱性能だからといってセルロースファイバーを選ぶときにはこの辺の注意が必要です。
このことは、エアコンなどの冷暖房を付けたときの立ち上がりの悪さにもつながります。
でも室内を同じ温度に保つ性能はあると言うことですので冷暖房など少し付いていれば温度変化はしにくいと言うことですね。

透湿性、内部結露の恐れは?

それと大きな特徴は繊維状なので水蒸気を通しやすいと言うことです。
生活していると室内で水蒸気が発生します。その水蒸気がセルロースファイバーで断熱された壁体内に入いります。
水蒸気を通す性質があるのでそれがそのまま外に出て行ってしまえば良いのですが、外側に地震のために付けた構造用合板などの耐力面材があるとそこで水蒸気がとまってしまいます。その合板が冷たいと 氷水の入ったコップのように結露が起こってしまうのです。
ですが、これにも対策があります。まずは耐力面材をダイライトやハイベストウッドのような水蒸気を通しやすい材質にすること。室内から壁体内に水蒸気が入らないように防湿フィルムを貼ること等です。
メーカーの基準に従ってきちんと仕様通りに施工していれば問題は起こりませんが、独自にアレンジして計算してないと危険ですね。それと寒冷地などはもっと条件がきついですから注意が必要です。

調湿性能?期待していいの?

吸湿性能もあります。水蒸気を吸う力があります。うまく室内の相対湿度を50%前後に保つ力があれば良いのですが、そういった力はなさそうです。もしあるとすると夏の水蒸気の量は多いですから断熱材がびしょびしょになってしまいますね。上手に外部に排出されればいいのですが夏は外の空気も厚くてじめじめ。逆に外の湿度も中に入り込んでしまいます。調湿性能があると歌っているメーカーもありますが、WUFI等で検証するとどうもそうでも無いようです。

防音性能ありそうだけど

重いことで良いことは、防音性能があること。他の断熱材に比べ確かに音を遮る力は強いようです。しかし当社のような住宅では元々壁が厚いですし外壁がもっと重いALCを使っています。それでかなり遮音できてしまっているため充填断熱材が何であろうとほとんど関係ありません。
普通の住宅でも 窓の影響の方が強く出るのでは無いでしょうか?
ですから、まあ少しは役に立つ程度で考えていた方が良いと思います。
お部屋とお部屋の間の防音にはとても効果がありそうです。

吸音性能ありそうだけど

次に 繊維系断熱材で良く言われる吸音性能に関して。
壁材に穴が開いていたりして断熱材の中に音が入っていけるような構造にしておけばとても効果があると思います。
しかし普通はセルロースファイバーの上に石膏ボードを貼ってクロスを貼ったりしてしまいます。
これでは中が何の断熱材であろうとそう大差はありません。クロスを吸音板に買えたりした方がよほど効果があります。
吸音性能があると言うのは、製品そのものであって建築に組み込むとほぼ関係ないといって良いのでは無いでしょうか?

価格は?

値段はグラスウールに比べると少し高めです。ちょっと残念ですね。

もっとも良いことは環境負荷が少ないこと。リサイクル!!

最後にもっとも良い点を上げます。
リサイクルの建材だと言うことです。元々古新聞で作られますので、環境に負荷をかけません。製造時も主な工程はすりつぶして袋に詰めるだけですのでほとんどエネルギーを使いません。
さらに建物が建て直さざる終えないときでも、集めてまた再利用することができるのです。
これはすごいですね。
究極のエコ建材です。

良いところ悪いところ様々ありますが、他の断熱材と組み合わせ長所のみを引き出せるのではないかと考えています。

今後の高橋建築のセルロースファイバーの展開にご期待ください。(笑)

Posted by 髙橋 慎吾