電話をかける

問合せ

ブログを読む

トップへ戻る

髙橋建築

住友林業の家は暖かい?断熱調査7 部位別断熱性能

断熱・気密

今回は天井、屋根、壁、床などの部位別の考察をしてみます。
断熱性能も各部位が弱点無くできていることが大切です。

それでは見ていきましょう。

各部位の仕様

3地域断熱と書いてあります。5地域なのに3地域仕様ですと言っていますね。

屋根

一部屋根断熱です。

内側から
石膏ボード9.5mm
ネオマフォーム60mm(λ=0.020)木材60mm 木部率9%
ネオマフォーム60mm木材60mm 木部率13%

U=0.189W/㎡K

石膏ボード9.5は12.5の間違いでしょうか?省令準耐火でしょうから。
ネオマフォームの60mmをダブルにしているだけあってとても良いですね。

天井

メインは天井断熱です。

石膏ボード9.5mm
グラスウール220mm(λ=0.038)木材 木部率13%

U=0.17W/㎡K

ここも12.5mmの間違いでしょうか?安全側ですから良いですけど。
すべての梁が220mmあるわけでは無く105mmのつなぎ貼りもむ受けられましたのでグラスウールを1段1段分けて計算すればU=0.16位にはなりそうです。

外壁

石膏ボード12.5
グラスウール(λ=0.038)100mm 木材 木部率17%
密閉空気層 5mm 木部 木部率0%?

U=0.43W/㎡K

まずは以前触れた木部率 私が構造図から拾うと柱間柱だけでも33%ありそうでした。これは大分違いそうです。
さらに密閉空気層部分に木部率が計算してない?わずかだけど有利側ですね。数字に表れてきませんが。
私が計算すると

U=0.52W/㎡Kでした。 間違っていたらごめんなさい。実際は2割も悪くなってしまいます。木材の面積比率は省エネ基準に載っている値なので在来軸組構法はこれで計算できますが,ビックフレーム構法までこの比率が使えるとは思ってもみませんでした。

この家ではありませんが真壁のデーターもあったので載せておきます。真壁ですと U=0.53W/㎡K だそうです。グラスウール24K75mmです。

床(一般部)

木質系フロア 厚みなし 
下地合板 24mm
押出法ポリスチレンフォーム3種(λ=0.028)100mm 木材 木部率15%

U=0.33W/㎡K

床は断熱が評価できないものもありますから0にして安全側にしていますね。
フローリングを計算に入れてもさほど大差は無いですから計算が楽であったり仕様変更があっても数字が変わらないようにそうしているのでしょうね。

床(畳)

畳45mm(λ=0.08)
下地合板24mm
押出法ポリスチレンフォーム3種(λ=0.028)100mm 木材 木部率15%

U=0.27W/㎡K

畳の床があるのに計算書では使われていないで一般部の床で計算してありました。これは安全側なので良いとしましょう。

床(外気に接する)

ポーチの上の2階の床ですね。

木質フロアー 厚みなし
硬質石膏ボード12.5mm
床下地合板 24mm
グラスウール32k(λ=0.036)180mm 木材 木部率15%
U=0.23W/㎡K

実際に計算すると2階の床の場合は天井断熱の場合の木部率と違ってもっとありますね。まあルールがありますからこれでいいのですけど。我々は正確に出します。

床(床暖部)

ここがよく分からないところです。図面には仕様が書いてあるのですが外皮の計算書では計算に入れてない気がします。

仕様書から読み解くとこのような感じです。

フローリング 12mm
床暖パネル EPS12mm (想像)根だなし(あったらもっと悪くなる)
グラスウール(λ=0.036)60mm 木部率23.2%(構造図より)

U=0.47W/㎡K

床暖パネル部は有利になる用に計算しました。
しかしなぜか断熱材が薄いのでこのようになります。
これが計算から漏れている気がするのです。

しかし、入れたとしても熱貫流が3W位の差ですからまあ大差ありません。

基礎(内部)

押出法ポリスチレンフォーム3種(λ=0.028)20mm
コンクリート140mm

U=1.05W/㎡K

基礎(外周)土間床

立ち上がり部
押出法ポリスチレンフォーム3種(λ=0.028)20mm
コンクリート140mm
水平部
押出法ポリスチレンフォーム3種(λ=0.028)20mm 幅900mm

0.64W/mK

玄関ドア下は立ち上がり部の断熱は全くしていないようです。

1.75W/mK

どこが弱点か見てみましょう

床で断熱できていない玄関や浴室の外周回りの基礎が弱いですね。
その部分が4.06mありますので 4.06×0.64=2.60W/Kです。
全体の熱貫流量が152.7W/Kですから1.7%ですが、ほかに比べて極端に低いところがあるとそこだけとても冷たくなります。結露などの恐れも出てきます。少し怖いですね。

最も気になるところは外壁です。

0.43W/㎡Kと外気に面する天井などに比べてもとても大きい値です。

窓やドアは開口部ですので除外して考えます。床も床下の比較的温度が安定している部分に面してますので今回は抜いてみましょう。

そうすると外壁は天井の倍も熱が漏れやすいことが分かります。

さらに問題となるのは、外壁は一番面積が大きいということです。面積まで考慮して熱の逃げを見てみましょう。

全体の逃げる熱の45%外壁から逃げることが分かります。

窓が28% 天井が9%です。

窓が多いのはやむを得ないとは思いますが、壁がもう少しどうにかならなかったのかと思います。

まとめ

正直に書いてくれとオーナー様より言われていますのであえて書かせていただきます。住友林業さんが怒るかもしれませんが事実なのでやむをえません。

断熱量が平均的にまあまあのレベルでとどまっています。

外壁は一般的に建てられているハウスメーカー以外のところより見劣りします。高断熱とはいえない一般的なレベルです。正直に言うと高性能グラスウール(λ=0.038)100mmですから高断熱を唱っている建売住宅でもこのレベルと同じです。むしろビックフレームがある分、断熱材が入らなくなりますから不利でしょう。

天井は建て売りより少し良いです。ここで全体の数字を下げることに寄与しています。建て売りだとグラスウール100mm位でうまくクリアーさせているところもあります。それに比べればきちんとしています。屋根裏は暑くなったり放射冷却の影響なども受けやすいですから少し良くしておくのは当然ではあります。

窓はオーナーさんがオール樹脂サッシに変えて正解です。これが標準のアルミ樹脂サッシだったら結露などの心配も増えたかもしれません。

基礎、土間に関しては「どうしてここまで薄くするの?」と思ってしまいます。面積が小さいので数字には表れてきませんが、ほかに比べて特別に性能が悪い場所を作ることは危険だと思います。

外壁に関してもう一つ心配があります。現代のエアコンの使い方の問題です。
近年はお客様がたくさんエアコンを使いますし外気温は高温高湿度となります。

グラスウールの内側の防湿フィルム面に夏型結露の恐れがあるかもしれ無いと思ったのですが大丈夫そうでした。一瞬結露するかもしれませんがすぐ乾くようです。結果は設定により大きく変わります。割と厳しめに考えた結果ですので心配ないです。
住友林業さんできちんと検証していると思うので心配すること無いですね。
我々は安全を考えて可変透湿シートにしたりすることもあるので少し心配してしまいました。断熱材がそれほど厚くないので問題にならないかもしれません。
それでも夏のエアコン使用時に過度に温度を下げ過ぎない方が安全ですね。

冬の内部結露に関しても全く大丈夫そうです。耐力面材を使ってないですし期ずれパネルで通気もとれていると思われるので心配ないですね

結論としては、
大手ハウスメーカーが自信を持って 「これで高断熱」と言ってしまうのかと思うと残念です。
我々とくらべて大きく見劣りします。
それでもお客様を納得させることができるのですからすごい営業力だと思います。

ここまで言ってしまい申し訳ございません。
事実のみおはなししているつもりです。
間違いがございましたら訂正いたしますので、ご連絡いただければと思います。

Posted by 髙橋 慎吾